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医師と薬剤師の共同研究でネオーラル食前投与の有用性を検討
図2 食後投与での血中シクロスポリン濃度推移(10例)
図3 食前投与での血中シクロスポリン濃度推移(10例)
増原/ 本院では、従来から薬剤部によるTDMが行われています。ネオーラルの食後投与で、経時的に血中濃度を測定したところ、吸収が悪かったコントロール不良例が認められたため、食前投与に変更してみると吸収が有意に改善しました。これを機に、木村先生と共同研究をすることとなりました。またその後、小児でもネオーラルの吸収改善を図ることができれば、ステロイド減量も可能になるのではないかと考え、生駒先生とも共同研究を行っています。
木村/ 薬剤師と医師の連携により、非常によい結果が得られた事例だと思います。図2、3に示すように、食後投与では十分な血中濃度が得られなかった症例で、食前投与に変更したところ有意に血中濃度が上がりました。全例で吸収が改善したので、食前投与がベストだろうと判断して切り替え、臨床的な改善効果が得られました。
生駒/ 日本小児腎臓病学会の指針では、ネオーラルの投与開始から6カ月間は80~100ng/mLのトラフ値を目標として、投与量を決定することが推奨されてきました。薬剤部との共同研究では、食前・食後投与での薬物動態を比較検討したところ、トラフ値に変化は認められず、AUCが有意に異なることが示唆されました。そこで食前投与に変更したところ、コントロール不良例でも安定した血中濃度が得られるようになりました。
木村/ かつてシクロスポリンの投与量はトラフ値を参考にして決定していましたが、トラフ値は安全性の指標であり、治療効果の指標としては必ずしも有用ではありませんでした。しかし、安定した吸収が得られるネオーラルが登場したことで、血中濃度やAUCにより吸収効率が確認でき、治療効果を予測することが可能となって、有用性が高まりましたね。
増原/
ネオーラルの登場によって、シクロスポリンのTDMの意義もさらに深まったと考えられます。
最後に、医師と薬剤師のパートナーシップについてお話いただけますか。
木村/ チーム医療の一員としてベッドサイドに薬剤師に立っていただくことで、その場でいろいろ質問ができ、専門的な立場から薬剤選択や副作用の可能性などについて情報提供いただけるので、非常にありがたく思っています。今回ご紹介したような共同研究には、今後も積極的に取り組んでいきたいと考えています。
生駒/ 私たちも薬剤師の方々と一緒にさまざまな勉強ができる機会が増え、大きな進歩であったと感じています。各医療職がお互いに補い合って、より豊かなチーム医療を実践し、患者さんに還元していきたいと思います。
増原/ われわれ薬剤師も、常に臨床への貢献を念頭に、これからもさまざまなアプローチを展開していきたいと考えております。本日はどうもありがとうございました。